"" (1)インクルージョンを支持する理由/信念
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つぶやき。(「何となく、インクルージョンは良いような気もするし、そうした方がよいような気もするんだけど、"なぜ?"って聞かれると・・・うまく相手を納得させられるように説明できないんだよなあ。」)

 

私がアメリカで出会った、最も(私にとって)説得力のある"インクルージョンを支持する理由・信念"は、「現実的人口分布(Realistic Population Distribution)」(Thompson,B.,et al, 1993) という考え方です。この考え方では、これから子供たちが成長して一員になろうとしている社会の中には、ある一定の割合障がいを持った人たちが実際にいるのだから、

「子供たちも、この"現実的人口分布"の中で生活をするべきである。健常児だけが教室を占めるのも"非現実的"だし、同様に障がいを持った子供たちを健常児と離した別の教室に入れるのも"非現実的"である。(Thompson et al., 1993)


と主張します。また同時に、特に就学前の発達早期は、子供たちが、障がいを持った友達と実際に同じクラスの仲間として直接触れあって生活をしていく中で、「障がい」ということを知り、またそれをポジティブに受け止める態度や技能を身につける上で、最適かつ重要な時期であることを強調しています。この点については、いくつかの研究がそのことを支持する結果を提示しています。たとえば、



"" 障がいを持った子供たちを受け入れている幼稚園に通っていた子供たちがその後小学校にあがったときに、障がいを持った人たちに対して他の子ども達と比べてよりポジティブな態度を示した(Esposito& Peach, 1983)。とか、

"" 障がいを持った人たちに対する10代の若者たちの態度を調査した結果、小学校時代に学校主催のインクルージョンアクティビティに参加した若者の方が、参加しなかった若者たちより、障がいを持った人たちをよりポジティブに受け止めていた(Kishi&Meyer,1994)。とか、

""インクルージョンを実施している幼稚園に通っている子供たちの方が実施していない幼稚園に通っている子供たちより、他の人のニーズに対して敏感であり、同時に"どう助けるか"というアイディアも、より豊富であった(Diamond& Carpenter, 2000)。など、など。




以上のように、インクルージョンという経験から教育的に良い効果を得るのは、障がいを持った子供たちだけではなく、がいを持たない子供たちも大いに利益を得ることが強く示されています。
「障がい」という、1つの「違い」をポジティブに受け止め、また、そういういろいろな「違い」をもった友達とうまくやっていく能力・技能というのは、障がいを持つ・持たないに限らず、そのほかの様々な「違い」に対してもより適切でポジティブな態度で向かう力につながると考えられており、特に「人種」あるいは「経済状況」「家族構成」などの様々な点において「違い」のバリエーションの幅が大きいアメリカでは、非常に重要視されているようです。


日本という国は、アメリカと違って単一民族の国ではあるけれど、当然いろいろな「違い」を持った人たちが共に生きている社会であることに変わりはなく、よって、アメリカと同じように、いろいろな「強み」や「ニーズ」や「考え方」や「やり方」をもった人たちとうまくコミュニケーション・協力しつつ生活していく力というのは、これからの日本社会を支える我々自身や子どもたちにとって実に必要な力であることを認識するべきであると思っています。加えて、「日本」という国の中だけでなく、より広い視野をもった人材を育てることが、これからの日本にとって大いに求められるであろうことを考えあわせると、層の厚い実際の体験の中で人々の間のいろいろな「違い」をポジティブに受け止め、結果的には「自分自身」をもポジティブにとらえることを促す機会を与えてくれるインクルージョンは、注目すべき教育的価値がある、と私も信じています。


最後にもう1つ、インクルージョンが障がいを持たない子供たちにもたらす利点として、障がいを持った子供のために工夫され、クリエイティブに調節されたカリキュラム・教材・遊び・教授法が、実は他の子供たちにとっても教育的効果がある可能性が高いことが挙げられています。私も、全くその通りだと思います。一人一人違った個別のニーズを持っているのは、別にいわゆる"障がいを持った"子どもたちだけなわけではないんだし、"既製"の方法より少し工夫された方法の方が、「わかりやすい!」とか「自分に合ってるなあ。」とか「おもしろい!」とか感じる子だって、きっと多くいるはずだと思うので。

 

文責:笠原真帆

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