つぶやき。(当たり前だけど、アメリカの中でも、インクルージョンに対する議論があるんですねえ。)
単に"インクルージョン"といっても、アメリカのだれもかれもが、子供のニーズにかかわらず「普通学校の通常学級に入れよう!!」と、強くインクルージョンの受け入れ先を通常学級のみに限定する考え方を主張しているわけではなく、"インクルージョン"という言葉自体の意味や、法律にかかれている"最も制限の少ない環境(LRE)"という用語の解釈の仕方について議論が繰り広げられているようです。
教師に対する必要なトレーニングやサポートが提供されなければ、通常学級における、スペシャルニーズをもった子供たちに対する適切な教育的援助も提供されず、結果的にただ子供たちを混乱させ、"その場にいる"ことのみでよしとしてしまう「ダンピング(投げ込み)」になりかねません。
また、自閉症を持った子供や学習障害を持った子供たちを援助する団体からは、すべての子どもたに"紋切り型"にインクルージョンを適用してしまうことで、通常学級ではなく、そういった子供たちの特性を大きく重視した特別な教室でだからこそ得られる教育的利点が得られなくなってしまうのでは、という声も出ています(NICHCY:The National Information Center for Children and Youth with Disabilities/ 障がいをもった子どもや若者のための情報センター)。
ただ基本的には、「障がい」というラベルをつけられた子どもすべてを"特別グループ"として普通教育の場とは別のところにうつしてしまう、という考え方に反対するという意味では、みんな"インクルージョン"という考え方に賛成で、
| 要は、インクルージョンを「するか・しないか?」という問題ではなく、
「どのように」より質の高く、一人一人の子供にあったインクルージョンを実施するか?
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ということが今後の大きい問題のようです。現在アメリカで出されている案の中でもっとも広く支持されていて、私自身も「いいな」と思っているのは、清水(1997)が"インクルージョン穏健派"と呼ぶ人たちが主に主張している
という考え方です。この考え方では、基本的に目指す方向性としては、『通常学級へのサポートつき措置』をゴールとして据えつつ、一人一人の子供やその家族のニーズや希望・好みにあったやり方を、一連のサービスメニューから選ぶ、あるいは既存のメニューにないものを「テーラーメイド」のサービスとして作り上げるという、いわば"選択肢の幅を広げる"考え方です。現在の所オプションとしてあげられているのは、
*「サポート付き通常学級」
*「サポート付き通常学級+コンサルテーション(相談)」
*「サポート付き通常学級+一部通級」
*「サポート付き通常学級+一部特殊学級」
*「特殊学級」
*「特殊学校」
*「家庭ベースの教育」
*「病院・施設ベースの教育」( Fuchs & Fuchs, 1998)
また幼稚園・保育園レベルについては、アメリカの障がい児教育プログラム課(The Office of Special Education Program)が法律制定後に、法律実施に関するコメントの中で、先に述べたLRE(「最も制限の少ない環境」)と認められうる環境の一例として以下を挙げています。
*健常児対象のプログラムへのインクルージョン
つまりよくある普通の幼稚園・保育園へのインクルージョン。
*障がいを持った子供&健常児対象のプログラム
健常児対象のプログラムにあとから障がいを持った子供をいれるのでなく、初めから、両方とも対象としてデザインされてあるプログラム。うーん。日本だと、あまり聞いたことないかなあ。
*障がいを持った子供のためのプログラムと、健常児のためのプログラムを何らかの形で関連づけさせる
例えば、特定の時間や行事における交流など
*障がいを持った子供対象のプログラムを、通常小学校の建物内に設置する
こういうのも、あるんですねえ。
(以上Thompson, B., et al., 1993)
日本でも、私が知る限りいくつかクリエイティブなやり方のインクルージョンを展開している幼稚園・保育園があり、今後日本の中で、そういった選択肢の広がりがさらに発展していくか、あるいはハンディキャップを持った子供とその家族や、そういった人々と関わるいろいろな人たち(教師、専門家、行政等)から幅の広い選択肢を望む声が出てくるか、というのは、1つ私も注目していきたいところだと思っています。また、就学前期に比べて、学齢期におけるインクルージョンの方が、いろいろな意味で"発展に対する抵抗"が大きいような印象がありますが、今後日本において学齢期におけるインクルージョンが、どのように幅を広げつつ発展していくか、というのもとても気になる点であります。
文責:笠原真帆
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