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プログラムの成功に影響を及ぼす要因
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インクルージョン・プログラムの受け入れとその全体的な成功(長期にわたる参加と質の向上)は,幼稚園・保育園の園長と教師の両者が,子どもとその家族のニーズに応じることを核とした、一貫した明快な哲学と使命感をもっているかどうか、ということと深く関連しているように思われた。幼児教育プログラムの中で、実際に私たちがもっとも成功を収め,以上のようなはっきりした哲学と使命感をもっていたいくつかの例は,モンテッソーリ・プログラム,ヘッドスタート・プログラム,全国幼児教育連合(NAEYC)公認プログラムである。その他インクルージョン実施の成功に影響を与えたと考えられる幼稚園・保育園側の側面としては以下のようなことがあげられる。どれだけの長い期間その地域に根ざしてきたか、および地域での園の評判,資格を持った教師の採用,職員の入れ替わり率の少なさ,安定した財政基盤、などである。


重い障害を持った子供の教育では,歴史的に教師主導の指導法が用いられてきた(Guess & Thompson,1990; Thompson & Guess, 1989)。このような事実にもかかわらず,子どもの発達に適した実践に基礎をおいて子どもに主導権をもたせた、子供中心に行われる幼児教育は,重い障害をもった幼児のインクルージョンにおいて特に適し、成功に導く可能性が高いことが観察された。
特に、私たちのプロジェクトはモンテッソーリ幼児教育法とは長期にわたる成功経験を体験してきた(Thompson, Wickham, Ault, et.al., 1991)。例えば,私たちのプロジェクトにとっての最初のインクルージョン先でもあった、アメリカ・モンテッソーリ協会公認の私立のモンテッソーリ・プログラムは,過去10年間,私たちのプロジェクトへの積極的な関わりを展開し続けてきた。その幼稚園で働く教師の1人は、公立学校管区内で幼児障害児教育教師として働く資格を獲得し(専門分野・重度障害児)、障害をもった子どもの最適な教育的措置とサービスの連絡調整を行うために、障害児教育サービスのコーディネーターとして働くようになった。1992年には、その教師の給料の一部は,公立学校管区と幼稚園との間の契約により支払われるようになった。更に同じ幼稚園の他の教師も,大学院レベルでの障害児教育の勉強を始め,もう2人の教師も、彼女たちの教室の子供達にサービスを提供する様々な異分野の専門家からなるチームと共に活発にプロジェクトに参加した。加えてその幼稚園では新たにスロープを作り,便器などの障害のニーズに適した設備を購入し,視覚に訴える警報機を導入し,また、全ての子どもにとって利用しやすいように園庭にも改築を加えた。
様々な考察を通して、モンテッソーリ・プログラムがかくも,重い障害をもった幼児・児童のインクルージョンに適した魅力的なモデルである理由がみえてくる(Thompson, Wickham, Ault, et.al., 1991)。まず、モンテッソーリの公認教師は厳格な職務基準を満たさねばならず,十分な資格を持つ幼児教育者である。その上,モンテッソーリの教育環境には,NAEYCのガイドライン(Bredekamp, 1991)によって明確にされたような発達的に適切な実践と関連した以下のような特徴をもっている。すなわち,異齢児集団,見通しをもちやすく構造化されて子ども主導となるように焦点化された教室,子どもの自由選択と自立の力を高めさせるように準備された教室環境,それに広範囲の発達的ニーズを満たすことができる機能的で子どもの興味を引く数多くの教材などである。モンテッソーリプログラムが呈する、カリキュラムの比較的一貫した性質や、様々なセッティングにおいて同様に質の高いプログラムを再現できる確立した方法論により、他の場面等に対する実際的な応用価値の大変高いプログラムであるといえる(モンテッソーリ指導法の他の関連する側面については,以下の文献を参照されたい。Chattin-McNichols, 1992; Krogh, 1982; Lillard, 1973; Loeffer, 1992; Safford, 1989; Thompson, Wickham, Ault, et.al., 1991; Wegner, 1989)。


最近になって,ヘッドスタート・プログラムも私たちが活動している2つの学校管区におけるインクルージョンの取り組みに積極的に参加するようになり,それら2つの地域にあるヘッドスタートプログラム内の8つの教室が本プロジェクトに参加し、成功を収めている。ヘッドスタートプログラムと学校区との共同による計画調整を支持し,重い障害をもつ子どもをプログラムに含めることを定めたヘッドスタートに関する関連法規により、私たちのプロジェクトとヘッドスタートプログラムとの協力関係が容易になった(DEC/CEC: 障害児教育学会・幼児期障害児教育部門, 1993)ヘッドスタートのクラスにおいては,多様なカリキュラムが用いられる可能性があるが,しばしばヘッドスタートのクラスで用いられ、インクルージョンを実施するにあたり特に適していると思われるものは,ハイスコープ・プログラム(Hohmann & Wiekert, 1995)とクリエイティブ・カリキュラム(Didge & Colker, 1992)である。
ヘッドスタートの注目すべき特徴をいくつかあげると,家族との高いレベルでの協力,プログラムに在籍する子どもと家族のために用意された広範囲にわたる健康と栄養のプログラム,継続的に必須とされる職員研修活動などである。


地域のインクルーシブな幼稚園・保育園における"子ども預かり"事業の部分は、障害をもつ子供達の家族から常に利用された部分であり、しばしば、"子ども預かり"をするかしないかによってある園を選ぶ選ばないという選択の理由になっていたことは特記すべきことであろう(Thompson & Wegner, 1993)。他の文献でも指摘され(Berk & Mense, 1990),私たちの経験からも言えることだが,重い障害をもつ子どもを預かってくれるところを探すことは家族にとってとても困難なことである。インクルーシブな「幼児教育」という点を通して地域の幼稚園・保育園との関係を作り上げることにより,幼児教育を越えた"子ども預かり" の部分のサービスの道が多くの子どもに開かれたのである。


最後に,重い身体的チャレンジをもった子供達にとって幼稚園・保育園が物理的にアクセス可能な環境を準備しているかどうかは,プログラムが有効に働くかどうかのまさしく重要な要因であった。一時的なやりくり策を取ることもできるが,中には、重い身体的障害をもった子どもを安全に迎えることが実質的に不可能な建物の中に位置したプログラムもあった。「物理的にアクセスできる環境」というのは、障害の有無に関わらず、小さい子ども全てに対する安全確保という面で大変重要なポイントであるので、この事実は見逃せないものであった。

 

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